概要
軽井沢ニューアートミュージアム・ギャラリーではパリを拠点とするアメリカ人アーティスト、マシュー・ローズの日本で初となる個展『週末計画 (Weekend Plans) 』を開催いたします。
カンバスや紙の上に表現された幻想的なコラージュ作品や既存のものを利用したオブジェで世界中にコレクターを持つマシュー・ローズ。その抽象的で比喩的なコラージュ作品はシュールなロマン・ア・クレフ(実話小説)となっており、入り組みながら複雑に組み合わさった彼の世界の自伝にもなっています。
「Second Hand Clock」、「Fantasms」「End of the World」などの立体オブジェには、哲学的なユーモアやローズの言語学や記号論への興味が滲み出ています。また、1970年代のキッチュなポルノ本をもとにしたコラージュ作品も展覧いたします。これらの小さくも親密感あふれる紙作品は、あたかも言葉のない劇場のように静かに共鳴します。そこでは、偽りのロマンティックな出会いの物語が、憧憬・退屈・欲求不満・ばかばかしさ、などが錯綜する奇怪なドラマへと変貌を遂げているのです。
1959年にニューヨークで生まれたマシュー・ローズは、ブラウン大学(ロードアイランド州プロビデンス)で学んだのち、1992年にパリへ渡り、自身のスタジオを立ち上げ、多くのコラージュや絵画作品を制作してきました。その作品はヨーロッパ、アメリカ、カナダ、韓国などで公的機関のみならず個人コレクターによって収集されています。
マシュー・ローズは偶然見つけたり、切られたり破れたりした紙を現代的な語法を用いて物語や視覚空間に変貌させることに魅せられてきました。コラージュという手法と、断片的であるというその生有の性質によって、「ハサミを使い、文学的かつ隠喩的に表現する」道が作家に開かれたのです。彼の作品には、ダダやフルクサスなどの芸術運動はもとより、ジョゼフ・コーネル、ジャスパー・ジョーンズ、ロバート・ラウシェンバーグ、レイ・ジョンソン、クルト・シュヴィッタースら20世紀を代表するアーティストたちと同一の方向性が見て取れます。
「私はスピーディーに制作するし、しばしばデザインすら意識していない。切れ端や断片から、音楽を創るようにね。」
意味が解体し、単なる紙の小片と化すまで単語を切り刻むことによって、それら断片化した諸要素は却ってその起源をちらつかせます。不在の在を生み、慣れ親しんだようでいて異質なものを示しつつ。
「A Book About Death」
マシュー・ローズが考案、キュレーションを行なった国際的なコラボレーション・プロジェクトの「A Book About Death」も併せて展示いたします。
2009年にニューヨークのエミリー・ハーヴェイ・ファンデーションから始動したプロジェクトであり、メール・アートの提唱者であるレイ・ジョンソン(1927-1995)と彼の作品「A Book About Death」(1963-1965)、そしてフルクサスのアート・ディーラー、エミリー・ハーヴェイ(1941-2004)への追悼の意が込められたインスタレーション作品です。マシュー・ローズはこの作品のために、死をテーマにしたカードの制作をアーティストたちに依頼、それらを500枚集めると未製本の本となるというコンセプトです。
個別にボックスに入れられギャラリーの床に配置された各アーティストの作品は、共同墓地を思わせます。来場者は、それぞれのボックスからカードを選ぶようにいざなわれ、それがひとつの完全なアート作品となるように、自由に一枚ずつ選んでいきます。ボックスからボックスへと移動してカードを得るには、まず膝を折り曲げてしゃがみ込まなければならない。この一種の苦行は、「A Book About Death」というプロジェクトに不可欠なパフォーマンス性なのです。
このプロジェクトの出発点となった作品は、ニューヨーク近代美術館(MoMA)やロサンゼルス・カウンティ美術館(LACMA)に収蔵されています。この共同プロジェクトは継承され、先だっての9月、ニューヨーク州ロングアイランドのアイスリップ・アート・ミュージアムで10周年を迎えました。これまでにおよそ50ヶ国から7,000人ものアーティストが参加、展示はヨーロッパ、アメリカ、ブラジル、オーストラリアなど30ヶ所に及びます。こちらも日本初上陸となります。
オープニング・レセプション
12月7日(土) 14:00 - 17:00
カンバスや紙の上に表現された幻想的なコラージュ作品や既存のものを利用したオブジェで世界中にコレクターを持つマシュー・ローズ。その抽象的で比喩的なコラージュ作品はシュールなロマン・ア・クレフ(実話小説)となっており、入り組みながら複雑に組み合わさった彼の世界の自伝にもなっています。
「Second Hand Clock」、「Fantasms」「End of the World」などの立体オブジェには、哲学的なユーモアやローズの言語学や記号論への興味が滲み出ています。また、1970年代のキッチュなポルノ本をもとにしたコラージュ作品も展覧いたします。これらの小さくも親密感あふれる紙作品は、あたかも言葉のない劇場のように静かに共鳴します。そこでは、偽りのロマンティックな出会いの物語が、憧憬・退屈・欲求不満・ばかばかしさ、などが錯綜する奇怪なドラマへと変貌を遂げているのです。
1959年にニューヨークで生まれたマシュー・ローズは、ブラウン大学(ロードアイランド州プロビデンス)で学んだのち、1992年にパリへ渡り、自身のスタジオを立ち上げ、多くのコラージュや絵画作品を制作してきました。その作品はヨーロッパ、アメリカ、カナダ、韓国などで公的機関のみならず個人コレクターによって収集されています。
マシュー・ローズは偶然見つけたり、切られたり破れたりした紙を現代的な語法を用いて物語や視覚空間に変貌させることに魅せられてきました。コラージュという手法と、断片的であるというその生有の性質によって、「ハサミを使い、文学的かつ隠喩的に表現する」道が作家に開かれたのです。彼の作品には、ダダやフルクサスなどの芸術運動はもとより、ジョゼフ・コーネル、ジャスパー・ジョーンズ、ロバート・ラウシェンバーグ、レイ・ジョンソン、クルト・シュヴィッタースら20世紀を代表するアーティストたちと同一の方向性が見て取れます。
「私はスピーディーに制作するし、しばしばデザインすら意識していない。切れ端や断片から、音楽を創るようにね。」
意味が解体し、単なる紙の小片と化すまで単語を切り刻むことによって、それら断片化した諸要素は却ってその起源をちらつかせます。不在の在を生み、慣れ親しんだようでいて異質なものを示しつつ。
「A Book About Death」
マシュー・ローズが考案、キュレーションを行なった国際的なコラボレーション・プロジェクトの「A Book About Death」も併せて展示いたします。
2009年にニューヨークのエミリー・ハーヴェイ・ファンデーションから始動したプロジェクトであり、メール・アートの提唱者であるレイ・ジョンソン(1927-1995)と彼の作品「A Book About Death」(1963-1965)、そしてフルクサスのアート・ディーラー、エミリー・ハーヴェイ(1941-2004)への追悼の意が込められたインスタレーション作品です。マシュー・ローズはこの作品のために、死をテーマにしたカードの制作をアーティストたちに依頼、それらを500枚集めると未製本の本となるというコンセプトです。
個別にボックスに入れられギャラリーの床に配置された各アーティストの作品は、共同墓地を思わせます。来場者は、それぞれのボックスからカードを選ぶようにいざなわれ、それがひとつの完全なアート作品となるように、自由に一枚ずつ選んでいきます。ボックスからボックスへと移動してカードを得るには、まず膝を折り曲げてしゃがみ込まなければならない。この一種の苦行は、「A Book About Death」というプロジェクトに不可欠なパフォーマンス性なのです。
このプロジェクトの出発点となった作品は、ニューヨーク近代美術館(MoMA)やロサンゼルス・カウンティ美術館(LACMA)に収蔵されています。この共同プロジェクトは継承され、先だっての9月、ニューヨーク州ロングアイランドのアイスリップ・アート・ミュージアムで10周年を迎えました。これまでにおよそ50ヶ国から7,000人ものアーティストが参加、展示はヨーロッパ、アメリカ、ブラジル、オーストラリアなど30ヶ所に及びます。こちらも日本初上陸となります。
オープニング・レセプション
12月7日(土) 14:00 - 17:00
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企画・主催
一般財団法人 軽井沢ニューアートミュージアム
作家からのメッセージ
アーティスト情報
マシュー・ローズ
1959年ニューヨーク生まれ。ブラウン大学で学んだのち1992年にパリへ渡る。以後多くのコラージュ作品や絵画作品を制作。作品はヨーロッパ、アメリカ、カナダ、韓国でコレクションされている。作品情報
関連イベント
ワークショップ「Petitコラージュカレンダーを作ろう」
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出演 :
マシュー・ローズ -
日時 :
12月8日(日)
午前の部:10:30~
午後の部:14:00~